私はもともと材木屋の番頭として工務店さんなどに木材を納める仕事をしておりましたが、さまざまな木の魅力に触れるうち自身でも理想の家を作ってみたいと考える様になりました。しかし、業者に木材を販売しているだけでは、なかなか一般のお客様に木の良さを知っていただくのは難しい。そこで、お客様と直接対話することができるオーダー家具の販売店に務めた後、この「ラグデザイン」を立ち上げました。
現在は木の家具を中心に扱うアンテナショップ「折々」もオープンさせ、家具と建築をトータルでプロデュースする、“暮らし”のご提案をさせていただいております。
ラグデザインのお客様はアートやインテリア、アウトドアといったこだわりの趣味をもつ人が少なくありません。私自身、若いころからサーフィンをやっており、もっとも熱中した30代の頃には仕事前でも波を求めて海へと行くほどでした。また、昨年からは新たなアクティビティとしてオートバイを手に入れ、週末は仲間とツーリングへ出かけるなどして楽しんでいます。
そんな経緯もあって、お客様からガレージやテラスといった趣味のためのスペースについて相談を受けたときには思わず自分のことのように思考錯誤してしまいます。好きなものに囲まれて安らげる空間は生活を豊かにしてくれると共に明日への活力を与えてくれる大事なものですから。
木にこだわった家づくり、というラグデザインのスタンスは最初にお話した通りですが、併せて「バランス」ということも非常に大事に考えています。クールで尖がったモダン住宅の良さもありますが、どちらかというともっと親しみやすい、年齢や性別の違う家族全員がリラックスできる家というのが理想です。無垢材などの素材のほか、窓の配置や天井の高さなどを工夫し、そういった空間をいかに演出できるかが我々の腕の見せ所なのです。
家づくりを進めていくうえで、お客様と設計者のイメージを共有することはとても大事なことです。対話によって要望をよく理解するのはもちろんのこと、お客様が気になっているというインテリアショップがあれば、一緒に見に行くなどもさせていただいています。
どういった美意識、嗜好をもったお客様なのかを体感的に知ることで、細部まで行き届いた意匠に仕立てることができるからです。こういったきめ細かなケアは大手ハウスメーカーにはないラグデザインの強みだと自負しております。
近年はご施主様のご厚意でご自宅でのお食事やお茶に誘っていただくことも多くなりました。設計させていただいた空間での施主様たちとの楽しいひと時。設計士冥利に尽きる、本当に嬉しい瞬間ですね。